個人型確定拠出年金(401k)の老齢一時金の税制解説。他に退職一時金がある場合は受給時の税金が高くなる?

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前回は、確定拠出年金の老齢一時金以外に退職一時金がない場合の税制にについて解説しました。

個人型確定拠出年金(401k)の老齢一時金の税制解説。まずは老齢一時金の税制の基礎を理解しよう
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今回は、確定拠出年金からの老齢一時金以外に企業等から退職一時金がある場合の税制を解説します。

前回の内容を理解していないと、今回の内容は理解できないと思いますので、お読みでない方はご一読して頂ければ幸いです。

老齢一時金の受給時の税制(他に退職一時金がある場合)

確定拠出年金からの老齢一時金と企業等からの退職一時金は、両方とも退職所得となります。

そして、退職所得金額を計算するためには、退職所得控除額を算定する必要があります。

ここで問題となってくるのが、老齢一時金と退職一時金は別々に退職所得控除額を算定することが認められるかどうかです。

税制の考え方は、基本的に老齢一時金と退職一時金は別々には退職所得控除額を算定することは認めないが、退職一時金を受領してから老齢一時金を受領するまでに相当間が空いていれば(約15年)、別々に退職所得控除額を算定することを認めるというものです。

要するに、老齢一時金と退職一時金で別々に退職所得控除を算定できるとあまりにも優遇され過ぎなので基本的には認めないが、老齢一時金と退職一時金を受領した時期が相当離れている場合には例外的に認めてあげるという考え方です。

個人的にはこの考え方さえ理解して頂ければ、殆どの人はこれ以上深入りする必要はないと思います。

これ以降で、具体的な計算方法を解説します。

上記の税制の考え方を具体的な計算方法に落とし込んでいるのですが、計算方法が非常に複雑なのでマニアックな人か暇な人に読んで頂ければと思います(出来るだけ簡略化して解り易くしたつもりです)。

会社等からの退職一時金がある場合について、以下のケースに分けて解説していきます。

1.同年に他の退職一時金を受領した場合

2.前年以前14年以内に他の退職一時金を受領した場合

(1).退職一時金が退職所得控除額以上の場合(退職一時金≧退職所得控除額)

(2).退職一時金が退職所得控除額未満の場合(退職一時金<退職所得控除額)

3.前年以前14年超前に他の退職一時金を受領した場合

このケースの違いにより、退職所得控除額の計算方法が異なってきます。

1.同年に他の退職一時金を受領した場合

同じ年に、老齢一時金と退職一時金を受領した場合の退職所得控除額の計算方法を解説します。

退職所得控除額を算定するためには、勤務期間を把握する必要がありますが、勤務期間の把握は以下のステップで行います。

① 退職一時金の勤務期間と老齢一時金の勤務期間(掛金拠出期間)を計算して、最も長い勤務期間を把握する。

② 上記の期間で重複していない期間がある場合にはその期間を計算する。

③ ①の期間と②の期間を合算する。

おそらく文章を読んだだけでは解らないと思いますので、具体例で説明したいと思います。

【設例】

入社年月:1990年4月

退社年月:2016年3月

掛金拠出開始:2010年4月

掛金拠出終了:2016年9月

老齢一時金6

①  退職一時金の勤務期間は26年、老齢一時金の勤務期間(掛金拠出期間)は6年6ヶ月となり、最も長い期間は26年となる。

②  重複していない期間は6ヶ月となる。

③ ①と②を合算すると26年6ヶ月となる(1年未満切り上げのため27年)。

勤務期間が27年なので、退職所得控除額は1290万円(=800万円+70万円(27年ー20年))となります。

2.前年以前14年以内に他の退職一時金を受領した場合

老齢一時金を受領した年よりも前(前年以前14年以内)に退職一時金を受領している場合には、その退職一時金の金額が当時の退職所得控除額以上か否か(退職一時金受領時に当時の退職所得控除額を使い切ったか否か)で老齢一時金の退職所得控除額の計算方法が異なります。

(1).退職一時金が退職所得控除額以上の場合(退職一時金≧退職所得控除額)

このケースの退職所得控除額の計算は以下のステップで行います。

① 老齢一時金の勤続年数(掛金拠出期間)を計算して退職所得控除額を算定する。

② 重複している期間がある場合にはその期間を計算して退職所得控除額を算定する。

③ ①から②を控除する(ただし、80万未満の場合には80万円)。

例によって具体例で説明したいと思います。

【設例】

入社年月:1982年1月

退社年月:2010年6月

掛金拠出開始:2006年4月

掛金拠出終了:2016年9月

老齢一時金7

①  老齢一時金の勤続年数(掛金拠出期間)は、10年6ヶ月(1年未満切り上げのため11年)なので退職所得控除額は、440万円(=40万円×11年)となる。

②  重複している期間は、4年3ヶ月(1年未満切り捨てのため4年)なので退職所得控除額は160万円(=40万円×4年)となる。

③  ①から②を控除すると、280万円(=440万円-160万円)となる。

(2).退職一時金が退職所得控除額未満の場合(退職一時金<退職所得控除額)

このケースの退職所得控除額の計算は以下のステップで行います。

① 老齢一時金の勤続年数(掛金拠出期間)を計算して退職所得控除額を算定する。

②  以下の表により退職一時金に係る勤続年数とみなす期間を算定する。

退職一時金の金額退職一時金に係る勤続年数
800万円以下退職一時金÷40万円
800万円超(退職一時金-800万円)÷70万円+20

③  ②で算定した期間と老齢一時金の勤続期間との重複している期間がある場合にはその期間を計算して退職所得控除額を算定する。

④  ①から③を控除する(ただし、80万未満の場合には80万円)。

【設例】

入社年月:1982年1月

退社年月:2010年6月

退職一時金の額:1350万円

掛金拠出開始:2006年4月

掛金拠出終了:2016年9月

老齢一時金8

①  老齢一時金の勤務期間(掛金拠出期間)は、10年6ヶ月(1年未満切り上げのため1年)なので退職所得控除額は、440万円(=40万円×11年)となる。

②  退職一時金に係る勤続年数とみなす期間は、27.857年(1年未満切り捨てのため27年)となる。

(1350万円-800万円)÷70万円+20=27.857

③  重複期間は、2年9ヶ月(1年未満切り捨てのため2年)なので退職所得控除額は80万円(=40万円×2年)となる。

④  ①から②を控除すると、360万円(=440万円-80万円)となる。

3.前年以前14年超前に他の退職一時金を受領した場合

このケースの老齢一時金の退職所得控除額は、退職一時金の退職所得控除額とは関係なく独立して算定します。

つまり、前回の記事で解説した計算方法で算定します。

計算方法は複雑ですが、税制の考え方を理解していれば何となく計算方法の趣旨が理解できると思います。

ではでは。

コメント

  1. ニシヤマ より:

    同年に他の退職一時金を受領した場合についてですが、他の退職一時金の方の退職所得控除はどうなるのでしょうか。
    そちらも控除されるとすると有利すぎる気がしますが。

  2. ファルコン男爵 より:

    >ニシヤマさん

    コメントありがとうございます。

    その場合には、退職所得を一括で計算します。

    つまり、退職一時金と老齢一時金の合計額から退職所得控除額を差し引いて計算します。

  3. ニシヤマ より:

    ありがとうございます。ずっと疑問だったのですっきりしました。これからもブログ楽しみにしています!